肝炎・肝臓病治療の解説・まとめ

第3のC型肝炎新薬登場!「ヴィキラックス」とはどんな薬か


千葉肝臓友の会副会長 篠田省輔(肝炎コーディネーター)

〇ここのところ、C型肝炎の経口新薬の進歩は目覚ましく、昨年9月のダクラタスビル・アスナプレビル(ジェノタイプ1型向け)、今年の5月のソバルディ(ジェノタイプ2型向け)、9月にはハーボニー(ジェノタイプ1型向け)が発売されましたが、更に、続いて第3のジェノタイプ1型向けの新薬、「ヴィキラックス」が承認されました。その後、薬価収載の審議を経て、11月18日に薬価が決定11月26日には薬価収載される予定です。薬価は、1錠2万6801.20円(1日薬価:5万3602.40円)です。

昨年から″飲み薬で治す時代“へと云われましたが、早くも″飲み薬新薬による選択治療の時代″が到来したと言っても過言ではありません。今回の「ヴィキラックス」はどんな薬か? 未だ十分な情報は出まわっておりません。既に発売されている新薬も諸事情で必ずしも適用できない方もあり、関心を持っておられる患者の皆さんも多いので、発売元の資料、治験など、取得できた最新情報をもとに皆さんに取り急ぎその概要をお知らせします。

(下記の記載は、アッヴィ社の新薬の解説書、承認時評価資料に基づいて纏めました。)

【ヴィキラックスの概要】

「ヴィキラックス」は、C型肝炎のジェノタイプ1型ウイルスを駆除するための抗ウイルス薬で、NS5A阻害剤のオムビタスビルとNS3/4A阻害剤のパリタプレビル/リトナビルを配合した合剤で、速やか且つ強力な抗ウイルス作用を発揮にする配合薬である。
1日に1回2錠を経口服用し、投与期間は12週間(約3ケ月)である。

(オムビタスビル25㎎、パリタプレビル150㎎及びリトナビル100㎎を食後に経口投与する。)
日本での治験によると、投与前に薬剤耐性変異(Y93)が検出されなかった患者で99.0%(301/304)の高率で、SVR12を達成しました。 又、Y93 が検出された患者の場合では83.0%(39/47)であった。
副作用はインターフェロン治療に比べて、格段に軽い。
心疾患、腎疾患への影響も少ない。
ジェノタイプ1型のC型肝炎及び代償性肝硬変に対して高い有効性と良好な忍容性を示すインターフェロンフリーの飲み薬のみの簡便な治療法である。

薬価は、11月18日、1錠2万6801.20円(1日薬価:5万3602.40円)に決まりました。
ヴィキラックスの写真と服薬カード〕

(図表上でクリックすると拡大します。)

「ヴィキラックス」錠剤写真と服薬カード

 

〔ヴィキラックスの作用機序(メカニズム)と作用部位〕
C型肝炎ウイルスの複製に必要な二つの日構造タンパク質、NS3/4AとNS5Aを阻害することで、ウイルスのライフサイクルを複数の異なる段階で阻害する。リトナビルはパリタビルのブ-スター(強化剤)として配合している。

ヴィキラックスの作用機序(2)

 

【ヴィキラックスの治療成績】

〇「ヴィキラックス」はC型肝炎1型患者(代償性肝硬変を含む)被験者対象の治験では、94,6%(106/112)の高いSVR12 を達成した。 患者対象を層別すると、非肝硬変患者の場合、98.1%(104/106)の極めて高いSVR12 を達成した。

肝硬変患者でも、90.5%の高いSVR12 を達成した。(下記グラフ参照)。

「ヴィキラックス」

〇又、治療歴(未治療、既治療)、性別(男、女)、年齢(65歳以下、65歳以上)で層別しても、夫々91%以上の高いSVR12 を示し、大きな差がないことが示された。

「ヴィキラックス」

【ヴィキラックスのNS5A変異別の治療成績】

〇下記のグラフの如く、Y93変異なしでは、99.0%の高率のSVR12 を達成した。

又、Y93変異ありの場合でも、SVR12は比較的高いSVR12は83.0%であった。

〇ウイルス量で層別すると、5.9Log10IU未満では、SVR12は100%であり、5.9Log10IU以上では、94,4%であった

「ヴィキラックス」治験成績3

 

【ヴィキラックスの副作用及び注意事項】

〇主な副作用としては、治験段階で、抹消性浮種4.1%、頭痛3.3%、悪心2.8%が認めらえたが、いずれも低率であり、インターフェロン治療に比して、格段に軽いといえる。

〇注意事項としては、カルシューム拮抗剤との併用は要注意である。 又、いくつかの併用禁忌薬、注意薬があるが、薬剤添付書に記載されている。

〇いずれにしても、肝臓専門医の治療指針に従って、治療することが求められています。

(以上)