(New!) C型肝炎IFNフリー治療、4番目の経口新薬 ~グラジナ・エレルサとはどんな薬か~ (’17年1月5日初稿)

副会長 篠田省輔(肝炎コーディネータ―)

周知の如く、C型肝炎経口新薬インターフェロン(IFN)フリーのジェノタイプ1型のC型肝炎治療薬としては、これまでにダクラタスビル/アスナプレビル(商品名:ダクルインザ/スンベプラ)、ソホスブビル/レジパスビル(同:ハーボニー)、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル(同:ヴィキラックス)の既に3つの新薬が発売され、実臨床で夫々極めて高い治療効果を発揮しています。そこに、この度、昨年3月の申請から半年後の9月に承認されたグラゾプレビル・エルバスビル(商品名:グラジナ・エレルサ)が、MSD社から11月18日に発売されました。1型の経口治療薬としては、第4番目の新薬であります。複数の治療効果の高い薬剤があるなかで、この新薬の価値はどこにあるのか、どんな特徴があるのか、これから治療を始める患者にとっては、知りたいところです。治験結果はわかっていますが、実臨床適用はこれからです。現在知りえている限りにおいて、治験結果を含めて、その概要を解説します。

 【グラジナ・エレルサの概要】

グラゾプレビルは、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤であり、ジェノタイプ1型、2型、4型、5型、6型に高い抗ウイルス作用を示し、第1世代のプロテアーゼ阻害剤による治療不成功例に起こる薬剤耐性変異ウイルスに対しても抗ウイルス作用を示すと言われています。

エルバスビルは、NS5A阻害薬であり、ジェノタイプ1型、2a型、3型、4型、5型、6型に抗ウイルス作用を示し、他のNS5A阻害薬(ダクラタスビル・レディパスビル)による不成功例の薬剤耐性変異にたいしても有効性が示されていると言われています。

【海外における治験の概要】

海外のいわゆる第Ⅲ相試験では、グラゾプレビル100㎎・エルバスビル50㎎を1日に1回、12週間投与で、SVR12は1a型で92%、1b型で99%、4型で100%、6型で80%と高率で、米国・欧州で承認申請されています。

【国内における治験結果】

国内の第Ⅱ相試験では、グラゾプレビル100㎎又は50㎎とエルバスビル50㎎を1日に1回、12週間投与の治験がおこなわれました。グラゾプレビル50㎎群では、SVR4/SVR12/SVR24 の結果は100%/100%/100%であり、100㎎群では、100%/96.8%/96.8と報告されています。(図1/次頁参照)。

NS5A領域の薬剤耐性変異(L31またはY93)は、50 mg群で4例(L31L/M,L31V.Y93Y/H,Y93H各1例)、100 ㎎群 で6例(L31M l例、Y93Y/H 3例, Y93H 2例)に認め、 100 mg群のY93Y/Hの1例で、SVR(治療終了後12週時点で再燃)となった(SVR24 90%)。

安全性の評価では、治験薬が投与された62例すべてで12週投与を完遂し、有害事象や副作用による中止例はなく、治験薬と因果関係のある重篤な有害事象は認められなかつた。 100 mg群31例中29例で治療開始4週時に24時間の薬物動態試験が行われた。第II相試験では高い抗ウイルス効果(SVR 96.8~100%)と高い安全性が示されている(図1)。その後、グラゾプレビル100 mgとエルバスビル50 mgの固定用量にて1日1回12週投与で第Ⅲ相試験が行われ、この治験結果は、慢性肝炎患者で96.5%、代償性肝硬変患者で97.1と報告されている(図2)。

グラゾプレビル/エルバスビル併用療法は高い有効性と安全性を兼ね備えた治療法であり、高齢化と有合併症C型肝炎が増加しているわが国では期待される治療であるとしている。

新薬グラジナ・エレルサ治験結果

【肝臓専門(指導)医の見解】

2016年11月29日、MSD株式会社主催の発売メディアセミナーにて、熊田 博光氏(虎の門病院分院長)がその価値について言及されており、その要点を纏めますと、下記の通りです。

現行の三つの新薬の有効率(SVR12 又はSVR24)、副作用などについて、虎の門病院で市販後の実績をベースに、今回の新薬、グラゾプレビル/エルバスビル(商品名・グラジナ/エレルサ)を比較しておられます。各種治療薬は夫々に薬剤耐性の有無別の治療効果と腎臓・心臓・肝臓への影響など、夫々に利点・欠点があるが、「エレルサ/グラジナは、耐性変異の有無にかかわらず、ハーボニーと同等の高い治療効果を示すが、ハーボニーで注意すべき腎臓や心臓への影響が少なく、ここに新しい薬剤が発売される価値がある」と述べておられます。

いずれにしても、経口新薬治療法の選択肢が増え、より多くの患者が、より適切な経口新薬治療を受けることができるようになります。特に、腎臓や心臓疾患の持病のある患者には朗報と言えます。

(各新薬の副作用の特徴については下記の図3をご参照下さい。新薬選択の参考になります。)

以上

新薬の副作用

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