C型肝炎は経口薬のみによる治療への移行が加速 (茶山一彰氏談:米国肝臓学会発表に関連して)

〇今年の米国肝臓学会では、C型肝炎に関する発表が多いという。日本でこの9月より、初のインターフェロンフリー経口新薬(ダクラタスビル+アスナプレビル)が保険適用になりましたが、これに関する治験結果を茶山一彰氏(広島大学教授)が米国肝臓学会で発表された。学会では経口新薬(DAAs)の発表が多く、著効率も極めて高く、90%後半、100%に近い結果が発表されている。茶山氏のお話によると、今後の治験の目標は、治癒率の向上から治療期間の短縮に向かっているという。又、これらのインターフェロンフリーの経口治療薬が初回治療、前治療再燃例にも保険治療が認可されれば、日本のC型肝炎治療は大きく変わり、経口新薬(DAAs)によ る併用療法を選択する時代がやってくるという。近い将来、C型肝炎がほとんど100%治癒できることが期待されています。(ご参考までに、日経メディカルよりの抜粋記事を掲載します。)

茶山 一彰氏(広島大学消化器・代謝内科学教授)談:C型肝炎は経口薬のみによる治療への移行が加速

2014/11/25 日経メディカルより/談話まとめ:米国肝臓学会取材班

 今年の米国肝臓学会(AASLD2014)に参加しての印象ですが、この数年はC型肝炎の発表が多いと改めて感じました。これは治療法の中心がインター フェロン(IFN)から直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antivirus agents:DAAs)に急速に移行しつつあるからでしょう。

IFNは注射薬であり、全身倦怠感、発熱、頭痛、関節痛といったインフルエンザ様症状がしばしば認められます。うつ病の方だけでな く、心疾患既往や重篤な肝障害、自己免疫疾患、甲状腺機能異常などの患者さんへの投与には制限がかかります。また、IFNと併用され るリバビリン(RBV)には、溶血性貧血などの副作用が知られています。すなわち、IFNを用いた治療法(IFN療法)は治療効果が 期待できるものの、対象となる患者さんがどうしても限定されるのが課題でした。

それに対し、複数のDAAsによる治療はIFNを併用せず、経口投与で済むのが特徴です。最近は、著効(sustained virologic response:SVR)率が高く、副作用が少ない治療薬が次々と開発され、大きな関心を集めています。

日本でもIFNフリー療法は承認済み
日本でも既にIFNを併用しない治療法(IFNフリー療法)として、ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法が保険適用になって います。ただし、両剤の適応は、ジェノタイプ1型のC型肝炎またはC型代償性肝硬変で、(1)IFNを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者さん、(2)IFNを含む治療法で無効となった患者さんです。すなわち、何らかの理由でIFNが使用できないか、 以前IFN療法を受けて効果がなかった患者さんに限られています。従って、これまでC型肝炎の治療を受けたことがない患者さん(初回 治療例)や、治療によりC型肝炎ウイルスがいったん消失したものの治療終了後に再び増えた患者さん(前治療再燃例)には、IFN療法 が選択肢となります。

今回のAASLD2014において、私たちは日本人の初回治療例と前治療再燃例を対象に実施したダクラタスビルとアスナプレビルの 第3相試験の結果を発表しました。その結果、24週の治療を終了してから12週後のSVR達成率(SVR12)は、初回治療例が 89%、前治療再燃例が96%、対照群(初回治療例に対するテラプレビル、ペグインターフェロン、リバビリンの3剤併用療法)が 62%でした。また、65歳未満と65歳以上に分けても、IL28B遺伝子多型別に見ても、肝線維化のステージ別に見ても、 SVR12に差は特にありませんでした。

こうした結果を踏まえると、初回治療・前治療再燃例も保険診療の対象になるのではないかとみています。もし初めて治療を受ける患 者さんにもIFNフリー療法が承認されれば、日本のC型肝炎治療は大きく変わるでしょう。さらに、sofosbuvirと ledipasvirABT-450/rとABT-267といったDAAsも開発されており、これらも承認されれば、DAAsによ る併用療法を選択する時代がやってきます。そうなれば、治療効果や安全性、薬剤耐性といったDAAsの特徴をきちんと理解した上で、 患者さんごとに最適な治療法を提案することが臨床医に求められるようになるでしょう。

治癒率の向上から治療期間の短縮へ
海外では、市販後のリアルワールドにおける治療成績も発表されていましたが、やはり臨床試験のときよりもSVR率が少し悪くなって いました。その理由の1つとして服薬アドヒアランスが挙げられ、患者さんへの服薬指導の重要性を再認識しました。服薬指導は治療効果 を高めるという点だけでなく、薬剤耐性の発生を減らす点からもポイントになります。また、日本では患者さんは少ないですが、C型肝炎 とB型肝炎やHIVなどとの重複感染例に対する治療、肝移植後の治療に関する発表がいくつもあったのが印象的でした。

一部の国ではIFNフリー療法が急速に普及しており、SVR率も9割台の後半、100%に近いデータが多く見られるようになってい ます。このように100%治癒がもはや夢ではなくなり安全性の高い薬剤が出てきたので、恐らく薬剤コストを意識して治療期間を短縮さ せようという検討が見受けられました。例えば、肝硬変を伴わないジェノタイプ1型に対する、grazoprevir、 elbasvir、sofosbuvirの3剤併用療法の4週と6週の治療成績が中間報告され、注目を集めていたようです。

IFNフリー療法の治療効果は高いことが示されていますが、IFN療法とは異なり、肝発癌の抑制効果はまだ証明されていません。で すから、SVR達成後も定期的なフォローアップが求められています。もっとも、治療手段がインターフェロンであれDAAsであれ原因 となるC型肝炎ウイルスは体内から排除されているので、肝発癌が減るのは当たり前と言えば当たり前です。実際、肝発癌の予測因子と考 えられているAFPを、IFNフリー療法もIFN療法と同じように低下させるとの発表があり、これはDAAsにも抑制効果があること を示唆しています。

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