(初稿:2014年3月3日)
(2018年5月2日改訂版/最新の新薬情報追記)

 千葉肝臓友の会副会長 篠田省輔(肝炎コーディネーター)

◎C型肝炎治療は、経口新薬登場で飲み薬で治す時代へ(最新改訂日:2018年5月2日)

〇閲覧者、C型肝炎患者の参考に資するため最新の経口新薬の適用状況の一端をお知らせします。。(下線部2018年5月2日追記)
これは千葉県下の状況ですが、2018年2月度の速報統計によると各経口新薬の適用占有率は、「マヴィレット」:29%、「ソホスブビル・リバビリン」:27%、「ハーボニー」21%、「エレルサ・グラジナ:15%、「ヴィキラックス」:4%、「ヴィキラックス・リバビリン」:4%、「ジメンシー」:~1%などとなっております。このデータを見ると、従来「ハーボニー」などに適用が集中していましたが、ここのところ、経口新薬の適用が一層多様化する動向にあります。相次ぐ新薬の登場により、患者の病態・他の持病などを勘案した治療法の選択が普及してきたように見受けられます。 経口新薬の適用には最新の情報をよく調べて、個別の患者に最適の治療法を選択することが大切です。

〇2017年12月27日改訂部分は、アッヴィ社の新薬「マヴィレット」(グレカプレビル/ピブレンタスビル)が2017年12月にいよいよ発売になりましたので、これに伴う改訂を致しました。「マヴィレット」の特徴は2017年6月15日改訂追記部分に述べております通り、①治療期間が8週間と短期、②パンジェノタイプ、すべての型に適用可、④重篤な腎障害患者にも適用可、⑤従来の直接作用経口剤で不成功の患者のも有効、であり、大幅に進化した薬剤と言えます。(2017年12月28日追記)

〇2017年6月15日改訂部分は、アッヴィ社の新薬「マヴィレット」(グレカプレビル/ピブレンタスビル)の申請(2017年6月15日)を反映しました。
このC型肝炎経口治療新薬の特徴は、一つは、従来の経口新薬の殆どが12週間治療であったが、8週間と短縮されたことであります。又、もう一つの画期的な特徴は、従来の新薬は、1型向けとか2型向けとか、治療対象のウイルスの型が限定されていましたが、この薬はすべてのジェノタイプのC型肝炎治療薬として開発されたことです。C型肝炎患者の大多数を占める非肝硬変のジェノタイプ1型と2型の患者に対しては、治療期間が短いという点でメリットがあり、ジェノタイプ3~6型の患者に対しては新たな治療選択肢を提供することになります。第3相治験結果も、極めて好成績と発表され、早期の承認が期待されます。アッビー社によると、①重篤な腎機能障害(CKD)を持つ患者、②直接作用型抗ウイルス薬(DAA)による前治療で治癒していない患者など、特定の治療課題を持つ患者のニーズに応えることも目的にしているという。(2017年6月15日追記)

〇2017年1月24日改訂部分は、C型肝炎(HCV)治療薬「ジメンシー配合錠」(アスナプレビル、ダクラタスビル、ベクラブビルの配合剤)が承認されたことを反映しました。この新薬は、すでに承認されているアスナプレビル、ダクラタスビルの併用療法にベクラブビルを加えて、効力アップを狙うと共に、耐性遺伝子やジェノタイプに関わらず有効な治療法として開発されたものであります。ここ2~3年のC型肝炎肝1型向けインターフェロンフリー経口新薬としては5番目の薬であります。これらの最新情報は以下の各章に反映するため、重複追記しておりますことをご承知ください。(2017年1月24日追記)

〇2016年11月22日改訂部分は、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を目的としたグラジナ錠50mg(グラゾプレビル水和物)とエレルサ錠50mg(エルバスビル)の薬価収載と同じく「ジメンシー配合錠」(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩、ブリストル・マイヤーズスクイブ)の承認です。

〇2016年10月17日改訂部分は「2016年C型肝炎治療のガイドライン(第5.1版・簡易版)」の発行に伴う改訂です。C型肝炎治療のガイドラインの記述部分に追記し、C型肝炎治療のガイドライン(第5.1版・簡易版)の閲覧リンクを載せておりますので、クリックしてご覧ください。

〇2016年9月18日の改訂部分は、「ヴィキラックス」・「リバビリン」が9月9日に、C型肝炎ジェノタイプ2型の新薬として、厚労省の審議会で承認されたことを反映させました。又、ところどころ、月日の経過に伴い、修正を必要とする箇所の文言の修正を行いました。主な改訂部は分かりやすいように下線を入れました。(過去の追記部分の下線は紛らわしいので、総てはずしました。)

〇2016年8月4日の改訂部分は、C型肝炎治療ガイドライン(第5版・簡易版)の発行に関する部分と主な経口新薬3つの価格改訂を反映させました。
改訂部は分かりやすいように下線を入れました。(今回は過去の追記部分の下線は紛らわしいので、総てはずしました。)

ハーボニーソフォスブビル・レディパスビル)の薬価決定・発売認可と保険適用及び医療費助成の決定に伴う更新です。加えて、新C型肝炎治療ガイドライン第4版の改訂内容を反映した更新です。加えて、2015年10月1日に「ヴィキラックス」/発売元アッヴィ―社、一般名:オムビタスビル+パリタプレビル・リトナビルの承認を追記しました更に、11月26日に「ヴィキラックス」が発売されました。 11月の改訂は、「ヴィキラックス」に関する改訂です。)
’16年1月改訂版は、ヴィキラックス発売に伴うC型肝炎治療ガイドライン第4.1版を反映しました。
今回の2016年5月4日の改訂は、
最近発表された近未来の新薬情報とジェノタイプ2型への新薬の適用治験の動向を追記しました。(2016年5月4日追記)。その後、2016年9月9日の厚労省審議会は、ジェノタイプ2型への適用を承認しました。この新薬は、上述のように、ジェノタイプ1型には既に使われていますが、2型にも使えるようにれば、「ヴィキラックス」はジェノタイプ1型、2型両方に使える最初のインターフェリンフリーン経口剤となります。(2016年9月18日追記)。

〇ご承知のごとく、千葉肝臓友の会では電話相談や面談相談に応じています。私も肝炎コーディネーターとして、皆さんからのいろいろな相談に応じておりますが、日進月歩の治療情報は、意外に皆さんに伝わっているとは限りません。そこで、より多くの患者の皆さんに、最新の治療を受けて頂くことを願い、「C型肝炎は飲み薬で治す時代へ」~今、C肝患者はどうすればよいのか~ と題して、患者の立場に立ってまとめました。

〇インターフェロンフリーの経口2剤新薬ダクルインザ(ダクラタスビル)・スンベプラ(アスナプレビル)が2014年9月に発売され、保険適用による治療ができるようになりました。医療費助成も適用できます。この新治療の施療に当たっては、留意すべき大切な事柄も明らかになり、適用開始から約1年になります。この治療で著効になった患者さんも多いです。

〇又、ジェノタイプ2型への経口新薬ソバルディ(ソフォスブビル)・リバビリンが2015年5月25から発売されており、2型患者への適用が増えています。更にジェノタイプ1型への経口新薬ハーボニー(ソフォスブビル・レディパスビル合剤)が7月3日にに認可され、8月26日に薬価が決定し、保険適用及び医療費助成による治療が8月31日から可能になりましたいずれも、95%から100%の著効率と言われる画期的な飲み薬です。この二つの新薬治療により、国内の殆どのC型肝炎患者(1型、2型)を飲み薬のみの治療法でカバーできるようになりました。ちなみに、発売当初、ハーボニーは8万171円(1錠)でしたが、この4月から約5万5千円に改訂、引き下げられました。毎日1錠、12週間/約3ケ月間の治療ですので、12週間の薬価総計は、当初673万でしたが、薬価改訂後は、460万に大幅減額となりました。ソバルディも同様の比率で薬価は減額されました。

〇上述のように2015年11月26日に「ヴィキラックス」(アッヴィ―社)が発売になり、ジェノタイプ1型患者は、三つの経口新薬から選択できるようになりました。勿論、保険適用及び医療費助成による治療が可能です。耐性変異のない場合は、著効率は95%から100%で、ほぼハーボニーに匹敵します。ちなみに、発売当初、薬価は1錠26、801円で、1日に2錠服用ですので、53,602円/日になり、3か月治療で約450万円でした。その後、ハーボニーなどと同様に薬価改訂が行われ、3か月治療で約387万円に大幅減額されました。

〇尚、これらの新薬は高価ですが、保険適用は勿論できますし、医療費助成の申請をすれば、納税額により、月1万円、又は月2万円で施療できます。(2015年8月31日改訂)。

〇以上の三つのC型肝炎経口薬が発売され、実臨床に適用され、多くの患者やさんが完治(SVR)に至っています。
その後、2016年11月には、4番目のC型肝炎薬、グラジナ錠50mg(グラゾプレビル水和物)とエレルサ錠50mg(エルバスビル)発売され、5番目のC型肝炎薬「ジメンシー配合錠」(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩)も承認されました。治験結果では、いずれも、ハーボニーに近い高い有効率を示しています。グラジナ・エレルサは腎臓病の持病を持っている患者、例えば、透析患者にも適用の可能とされ、また、ジェノタイプ1型だけでなく、1~6型まで広く効力があり、多くの型に適用の可能性があるといわれています。ジメンシーは、最初に発売された「ダクラタスビル・アスナビル」に″べクラブビル″を加え、3剤併用療法とし、耐性変異のあるウイルスへの有効生の向上をはかった新薬と言えます。(2017年1月24日追記)。

〇今後は、以上の5つの経口薬を患者の病態、他の持病などを勘案し、最適の薬を選択することとなります。いずれにしても、患者としては治療の選択肢が広がり、より多くの患者の救済が期待でき、朗報です。(2017年1月24日追記)。

〇今まで、副作用などでインターフェロン治療ができなかった方、中止した方、治療しても効かなかった方、代償性肝硬変で適用外だった方、高齢であきらめていた方、今度、新薬治療ができるかどうか、改めて再検討してください。昨年から“C型肝炎は飲み薬で治す時代が”来ました、言ってきましたが、早くも、”C型肝炎は飲み薬を選択して治す時代”になったといえます。。この投稿文がいささかでも皆さんの今後の治療のご参考になれば幸いです(2015年12月10日追記)。

〔質問・相談に応じます。→電話相談は火曜日・金曜日の10時~15時半に047-460-7055へ。メール相談は、[email protected]  へ。適切な回答ができるように、できるだけ、氏名、居住地、病状、病歴、血液検査結果などをつけてご質問ください。 但し、携帯電話・スマートフォンからのメール発信の質問には、当方パソコンからの返信が届かないこともあることをご承知おきください。〕

 

◎C型肝炎治療にとって大事なこと

〇私達患者が治療を受ける上で大事なことは、肝臓病の専門医と相談の上、その個人にとって最新のベスト治療をすることです。最近の治療法の進歩は、速く、且つ目覚ましいものがあります。それだけに、病院間格差や一般内科医と肝臓専門医の最新知識の格差ができやすいと云えます。主治医選びも治療の結果を左右します。特にこの経口新薬の適用の適否は、遺伝子検査結果によって判断されます。施療にあたっては、肝臓専門病院、専門医の診断で行うことが求められています。 (専門医選びは→日本肝臓学会ホームページの全国の専門病院・専門医一覧 をご覧下さい。)

〇次に、日本における最新の治療の基本は「C型肝炎治療のガイドライン」でありますが、インターフェロンフリー経口新薬の承認に伴い、最新版2014年第3版が、9月に発表され、その後、12月に第3.2版に改訂され、第3.4版に改訂されています。2015年9月に、第4版に改訂されました。 その後、C型肝炎治療ガイドライン(第5版・簡易版)の発行されました。2016年10月にはC型肝炎治療ガイドライン(第5.1版・簡易版)の発行されました。(2016年10月17日追記)。日本肝臓学会のホームページに掲載されています。一般患者が全頁を読むには骨が折れますが、要所に【Recommendation〕という欄を設け、太字で重要事項がまとめて記述されています。又、末尾に資料1、があり、これを読むと最新の改訂内容と留意事項などがまとめられています。これを読めば、治療の大筋と飲み薬新薬の最新情報がほぼわかります。
資料1には、患者の病態や遺伝子検査結果に応じて、選択すべき治療法がフローチャートで示されています。
詳細は→「2016年C型肝炎治療のガイドライン(第5.1版・簡易版)」をクリックしてご参照ください。

 

従来、経口新薬の第一選択が、「ハーボニー」でしたが、第4.1版では、、「ハーボニー」と「ヴィキラックス」が第一選択薬として併記されました。(2016年1月2日改訂追記)

◎C型肝炎治療の最新動向について

〇経口新薬が盛り込まれた「C型肝炎治療ガイドライン第4版」では、インターフェロン治療が可能な患者としては、ペグインターフェロン・リバビリン(ペグ・リバ)+シメプレビル3 剤治療 又は、ペグインターフェロン・リバビリン(ペグ・リバ)+バニプレビル3 剤治療 は一つの選択肢とされています。

☆3ケ月3剤の後、+3ケ月ペグ・リバ2剤で治療を継続する。合計6ケ月治療です。
期待効果は、初回治療の患者及び前回ペグ・リバ治療で再燃の患者は著効率90%前回ペグ・リバ治療で無効の患者は40~50% と云われています。(バニプレビルの場合は、全体としてほぼ同等ですが、前回無効患者の著効率がやや高く、55~70%と言われています。)

〇2014年9月より、ブリストルマイヤーズ製の経口薬ダクルインザ(ダクラタスビル)とスンベプラ(アスナプレビル)」(略称:ダクラ・アスナ)が、新しい保険適用治療薬として加わりまました。国内初のインターフェロンフリー療法です。著効率は約85%、副作用は少ないと云われています。インターフェロンを使わないで、内服薬2剤のみで治療できます。患者にとって負担が軽くて済みます。他方、前述のウイルスの耐性変異に留意しなければなりません。

☆対象は、難治型である1型高ウイルスの肝炎及び肝硬変患者(肝がん合併がないもの、但し、過去に肝がんの既往があってもよい)です。2015年3月20日より対象範囲が拡大され、すべてのジェノタイプ1型患者が適用選択肢として選べるようになりました。 つまりインターフェロン治療の前歴を問わず選択できるようになりました。(3月21改訂)

著効率は80%~90%が期待されていますが、特定の遺伝子変異のあるウイルスでは、著効率が30~40%程度に留まると言われており、著効に至らなかった患者は、その後の治療薬の選択が難しくなる可能性が指摘されています。

☆副作用としてALTが上昇することがあります。 (ATLの上昇程度によっては、専門医の特別対応が必要です。)

遺伝子検査は、今のところ保険適用外ですが、一般的には薬の提供企業の負担により患者は実質的には負担なく受けられることになっています。肝臓専門病院又は肝臓専門部門を持つ病院では事前遺伝子検査結果を基づき治療選択をすることになっています。是非、この検査を受け、その結果により、インターフェロン治療をするか、この薬を適用するか、次に出る新薬を待つか、肝臓専門病院・専門医の診断により治療法を選択されることが求められてます。この薬は代償性肝硬変も適用対象です。

ジェノタイプ2型向けにギリアド・サイエンシズ社のソバルディ(ソフォスブビル)+リバビリンの発売が2015年5月25日から発売されました。又、ジェノタイプ1型向けの商品名ハーボニー(ソフォスブビル+レディパビル合剤)が7月3日認可され、8月26日に薬価が決定し、8月27日より保険適用と医療費助成の適用が決まりました。愈々、8月31日より発売され、保険適用薬として、医療費助成の対象になりました。著効率は、治験の結果からは、95%~100%言われ、極めて有効率の高い新薬です。この薬は代償性肝硬変も適用対象です。(2015年8月31日更新)。

〇その他、アッヴィ社の「ヴィキラックス」(バリタブレビル/リトナビル+オムビタスビル)も、既に治験結果が発表され、2015年9月28日に承認され、その後、2015年12月26日に発売になりました。又、MSD社のグラゾプレビル・エルバスビル、ブリストル・マイヤーズ社のダクラタスビル・アスナプレビル・べクラブビル(BMS791325)などの治験も進行中です。2015年9月5日更新)。


〇この「ヴィキラックス」については、その後、2016年9月9日にジェノタイプ2型向けの経口新薬としても承認されました。「ヴィキラックス」はジェノタイプ1型、2型両方に使える経口新薬となります。これにより、ジェノタイプ2型も「ソバルディ」「ヴィキラックス」の複数の経口新薬を選択して使えるようになります。(2016年9月18日追記)

〇以上の三つのC型肝炎経口薬が発売され、実臨床に適用され、多くの患者やさんが完治(SVR)に至っています。その後、2016年11月には、4番目のC型肝炎薬、グラジナ錠50mg(グラゾプレビル水和物)とエレルサ錠50mg(エルバスビル)発売され、5番目のC型肝炎薬「ジメンシー配合錠」(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩)も承認されました。治験結果では、いずれも、ハーボニーに近い高い有効率を示しています。グラジナ・エレルサは腎臓病の持病を持っている患者、例えば、透析患者にも適用の可能とされ、また、ジェノタイプ1型だけでなく、1~6型まで広く効力があり、多くの型に適用の可能性があるといわれています。ジメンシー錠は、最初に発売された「ダクラタスビル・アスナビル」に″べクラブビル″を加え、3剤併用療法とし、耐性変異のあるウイルスへの有効性の向上をはかった新薬と言えます。(2017年1月24日追記)。

〇今後は、以上の5つの経口薬を患者の病態、他の持病などを勘案し、最適の薬を選択することとなります。いずれにしても、患者としては治療の選択肢が広がり、より多くの患者の救済が期待でき、朗報です。(2017年1月24日追記)。

〇さらに、最近になってアッヴィ社から、次の新薬、AB530+ABT530について、2016年4月14日にすべてのジェノタイプ(遺伝子型)のウイルス に対して、国内第3相臨床試験(P3)を開始し、好結果が出たと、発 表されました。つまり、ジェノタイプ1~6(GT1~6)型のC型慢性肝炎ウイルスに感 染した日本人患者を対象に治験がおこなわれます。この新薬は、第2相試験で、1日1回・8週間投与により、肝硬変がないジェノタイプ1~3型の患者(計117例)の97~98で、投与12週後の継続的なウイルス学的著効(SVR12)を達成。また1日1回・12週間投与により肝硬変のないジェノタイプ4~6型の患者(計34例)の100%でSVR12を達成しています。2016年5月4日に追記)。

〇上記の新薬、AB530+ABT530が、いよいよアッヴィ社から新薬「マヴィレット」(グレカプレビル/ピブレンタスビル)として2017年12月にいよいよ発売になりました。「マヴィレット」の特徴は2017年6月15日改訂追記部分に述べております通り、①治療期間が8週間と短期、②パンジェノタイプ、すべての型に適用可、④重篤な腎障害患者にも適用可、⑤従来の直接作用経口剤で不成功の患者のも有効、という大きく進化した薬剤と言えます。(下線部2017年12月28日追記)

〇以上の如く、最近のC型肝炎新薬の進歩は目覚ましく、殆ど全部のジェノタイプへの適用と2ヶ月の短期治療が実現することなりました。下線部は2017年12月28日修正追記)

〇その後、11月9日と11月11日の薬食審医薬品第二部会で厚労省は、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を目的としたグラジナ錠50mg(グラゾプレビル水和物)とエレルサ錠50mg(エルバスビル)の薬価収載と同じく「ジメンシー配合錠」(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩、ブリストル・マイヤーズスクイブ)を承認しました。この二つの新薬が承認されましたので、益々ジェノタイプ1型の新薬の選択肢が増えてきました。それだけに、肝臓専門の主治医と相談の上、最適の薬を選択することが肝要です。

⇒関心のある方は、「続々登場する新薬のお知らせ ~あなたに適した治療は!?~」をクリックしてご覧下さい。

◎患者は、今、どのように治療法を選択すればよいのか?

C型肝炎ジェノタイプ1型患者の場合、「インターフェロン3剤併用治療か?」、「経口新薬ダクルインザ・スンベプラ(ダクラ・アスナ)か?」、「今年承認された経口新薬ハーボニー(ソフォスブ・レディパス)か? 更にはヴィキラックス(バリタブレビル/リトナビル+オムビタスビル)か?」、 思案中の方からいくつかの相談を受けています。勿論、患者個人の諸々の状況によりその答えは違ってきますが、難治型(1型・高ウイルス量の患者)について、次に治療の選択肢を述べ、ご参考に供したいと思います。 尚、ジェノタイプ2型ウイルスの患者はどうしたらよいのか、との質問・相談もありますので、2型に関心のある方は、本文の末尾の記述しましたので、ご一読ください。

1. インターフェロン治療が可能な患者の場合は、(A₁)シメプレビル・インターフェロン3剤治療法、又はA2)バニプレビル・インターフェロン3剤治療法は選択肢の一つです。です。初回治療の患者及び前回ペグ・リバ治療で再燃の患者にはシメプレビル又はバニプレビル3剤治療の著効率は約90%です。ペグ・リバ治療より著効率は高いが、副作用はペグ・リバ治療と同等です。副作用が忍容できそうであれば、この療法は適用できます。(血球、ヘモグロビン、血小板などの忍容性は医師により、自覚症状については耐えられるかどうかは患者個人の判断で決めることになります。)。過去の治療で無効であった患者には、著効率が低いので、専門医と相談して下記の他の治療法の中から適切な治療法を選択してください。

2.(B)飲み薬のみの経口新薬ダクルインザ・スンベプラ(ダクラ・アスナ)は、2014年 9月から一般に治療が実施されています。医療費助成制度も適用できます。過去の治療歴、インターフェロン治療の前歴にかかわらず適用可能となりました。(2015年3月20日より)。但し、この薬に関わるウイルスの遺伝子変異検査を受け、その結果を基に、専門医の診断により施療することをお薦めします。患者個人の詳細な遺伝子検査を受け、専門医の診断により、シメプレビル3剤治療か、経口2剤新薬・ダクラタスビル+アスナプレビルのどちらかを選択すべきでしょう。(前回インターフェロン治療無効者は、シメプレビル3剤治療の著効率は40~50%程度で、他に比べ高いとは云えません。しかし、この経口2剤治療の場合は、ウイルス遺伝子検査で、効きやすいのであれば、80~85%の著効率ですが、特定のウイルス遺伝子変異が有り、効きにくい患者は30~40%程度になると云われています。従って、日本肝臓学会のC型肝炎治療のガイドラインでは、治療前にHCV NS5A領域(Y93/L31)に遺伝子変異があれば、この新薬治療を行った場合の多剤耐性獲得のリスクを十分に勘案して、適用を慎重に決定する、と記述されていますこの場合は、原則として、下記のハーボニーという選択肢があります。

3.(C)経口新薬ハーボニー(ソフォスブビル+レディパスビル合剤)は、今回、ギリアド・サイエンシズ社から愈々発売が実現しました。 前述のように、2015年8月31日から保険適用、医療費助成制度で適用できます。著効率は95~100%と極めて高く、期待の新薬です。今までの治療の選択が難しかった患者には、朗報です。
尚、適用にあたっては、腎臓病や不整脈などの持病をお持ちの方は、留意が必要ですので、主治医とよくご相談ください。又、併用禁忌薬や要注意薬もありますので、留意が必要です。(薬の添付書に記載されています。)

4.アッヴィ 社の「ヴキラックス」(バリタブレビル/リトナビル+オムビタスビル)が、2015年12月26日に発売になりましたので、主治医とよくご相談ください。(2015年10月10日追記、2016年1月2日追記)。

5.非代償性肝硬変、併発疾患などの事情で、上記の治療法がすべて選択できない場合は、当面、少量長期インターフェロン治療や肝庇護療法(強力ミノファーゲンC注射・ウルソ服用・瀉血等)で肝炎を抑えながら次の新薬を待つこととなります。今後、 非代償性肝硬変への適用を検討する治験が行われると言われています。(2015年10月10日追記)。

〇「(A₁)又は(A2)インターフェロン3剤併用新薬か?」、「(B)経口新薬(ダクラ・アスナ)か?」、「(C)経口新薬ハーボニー(ソフォスブビル・レディパス合剤)か? 更には、(D)「ヴィキラックスか?」 どれを選択するかは、最新の血液検査や遺伝子検査の結果や病状、肝臓以外の持病などを勘案して肝臓専門医と相談して判断することが肝要です。これらの治療法は、夫々に利点欠点、一長一短はあります。又、他の疾患で使う薬剤で併用禁止のものがかなりありますので注意を要することを付記しておきます。いずれにしても、最新の肝臓治療の十分な知識・経験を持った肝臓専門医を主治医として治療することをお勧めします。2015年10月10日更新)。

〇以上3っつのC型肝炎経口薬が発売され、実臨床に適用され、多くの患者やさんが完治(SVR)に至っています。
その後、2016年11月には、4番目のC型肝炎薬、グラジナ錠50mg(グラゾプレビル水和物)とエレルサ錠50mg(エルバスビル)発売され、5番目のC型肝炎薬「ジメンシー配合錠」(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩)も承認されました。治験結果では、いずれも、ハーボニーに近い高い有効率を示しています。グラジナ・エレルサは腎臓病の持病を持っている患者、例えば、透析患者にも適用の可能とされ、また、ジェノタイプ1型だけでなく、1~6型まで広く効力があり、多くの型に適用の可能性があるといわれています。ジメンシーは、最初に発売された「ダクラタスビル・アスナビル」に″べクラブビル″を加え、3剤併用療法とし、耐性変異のあるウイルスへの有効生の向上をはかった新薬と言えます。(2017年1月24日追記)。

アッヴィ社から新薬「マヴィレット」(グレカプレビル/ピブレンタスビル)として2017年12月にいよいよ発売になりました。「マヴィレット」の特徴は2017年6月15日改訂追記部分に述べております通り、①治療期間が8週間と短期、②パンジェノタイプ、すべての型に適用可、④重篤な腎障害患者にも適用可、⑤従来の直接作用経口剤で不成功の患者のも有効、という大きく進化した薬剤と言えます。(下線部2017年12月28日追記)

〇今後は、以上の5つの経口薬を患者の病態、他の持病などを勘案し、最適の薬を選択することとなります。いずれにしても、患者としては治療の選択肢が広がり、より多くの患者の救済が期待でき、朗報です。(2017年1月24日追記)。

〔ジェノタイプ2型の治療法について〕

〇2型についての治療は、次の通りです。

〇従来、ソバルディ(ソフォスブビル)+リバビリンの経口新薬が主流だったにですが、「ヴィキラックス」が、厚労省審議会でジェノタイプ2型向け経口新薬として、2016年9月28日に承認されました。これで「ヴィキラックスは、1型の患者さんにも、2型の患者さんも使えるようになります。但し、2型ヘの適用は、レベトール(リバビリン)と併用し、治療期間は16週間になります。いずれにしても、2型の患者さんは、今後、従来の「ソバルディ+リバビリン」又は「ヴィキラックス+リバビリン」の複数の経口新薬から選択して治療ができるようになります。(2016年9月28日追記)。

低ウイルス量の場合、ペグインターフェロン単独24~48週(又は、インターフェロン単独24週)の投与をおこなうことが、従来の治療でした。 この療法の著効率は90%といわれています。

高ウイルス量の場合は、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法24週(又は、インターフェロンβ+リバビリン併用療法24週)行う場合があります。リバビリンが使えない人には、ペグインターフェロン単独24週~48週治療も行われます。この療法で著効率は80%以上といわれています。

☆上記の治療でも、再燃した方には、テラプレビル+ペグインターフェロン+リバビリンも選択できますが、湿疹などの副作用が厳しいので、飲み薬のみの新薬ソバルディ+リバビリンを選択することをお勧めします。

ソバルディ(ソフォスブビル)+リバビリンの経口新薬が2015年5月25日に発売になりました。著効率は、治験では96%です。ジェノタイプ2型の方も、保険でインターフェロンフリーの経口新薬が使えるようになり、医療費助成も適用可能となりました。

〇貧血などでリバビリン投与できない方にも適用可能な新薬が治験中ですので、近い将来、更に副作用の少ない新薬の適用が期待されます。 それは、1型では認可済みの「ハーボニー」で、既に認可申請中です。 又、アッヴィ社から新薬「マヴィレット」(グレカプレビル/ピブレンタスビル)として2017年12月にいよいよ発売になりました。「マヴィレット」は1型、」2型どちらにも適用可のです。 リバビリンの服用を躊躇されている方は、これらの新薬を適用できるようになります。(2016年5月4日追記、2017年6月15日追記、2017年12月28日修正追記)

 千葉肝臓友の会副会長 篠田省輔(肝炎コーディネーター)

◎C型肝炎治療は、経口新薬登場で飲み薬で治す時代へ(3月21日・4月30日・5月16日改訂・5月24日改訂)

(改訂は、ダクラタスビル・アスナプレビルの適用範囲の縛りの解除と2月のソバルディ(ソフォスブビル)・リバビリンの発売(発売日5月25日)の部分です。改訂部分は下線を入れています。又、「患者の為のC肝最新治療のガイドマップ」へのリンクを挿入しました。又「2015年C型肝炎治療のガイドライン(第3.3版・簡易版)に発行のついてのお知らせとリンクを追加しました。

ご承知のごとく、千葉肝臓友の会では電話相談や面談相談に応じています。私も肝炎コーディネーターとして、皆さんからのいろいろな相談に応じておりますが、日進月歩の治療情報は、意外に皆さんに伝わっているとは限りません。そこで、より多くの患者の皆さんに、最新の治療を受けて頂くことを願い、「C型肝炎は飲み薬で治す時代へ」~今、C肝患者はどうすればよいのか~ と題して、患者の立場に立ってまとめました。

インターフェロンフリーの経口2剤新薬ダクラタスビル+アスナプレビルが去年の9月に発売され、保険適用による治療ができるようになりました。医療費助成も適用できます。この新治療の施療に当たっては、留意すべき大切な事柄も明らかになっています。

今までインターフェロン治療ができなかった方、中止した方、治療しても効かなかった方、代償性肝硬変で適用外だった方、高齢であきらめていた方、今一度、新薬治療ができるかどうか、再検討してください。この投稿文がいささかでも皆さんの今後の治療のご参考になれば幸いです

5月13日に薬価も決まり、ジェノタイプ2型への経口新薬ソバルディ(ソフォスブビル)・リバビリンの発売が5月20日からと決まりました。8~9月にはジェノタイプ1型への経口新薬(ソフォスブビル・レディパスビル合剤)が認可の予定です。いずれも、95%から99%の著効率と言われる画期的な飲み薬です。

さらに、これに続く新薬も続々開発・治験中です。

〔質問・相談に応じます。→電話相談は火曜日・金曜日の10時~15時半に047-460-7055へ。メール相談は、[email protected]  へ。適切な回答ができるように、できるだけ、氏名、居住地、病状、病歴、血液検査結果などをつけてご質問ください。 但し、携帯電話・スマートフォンからのメール発信の質問には、当方パソコンからの返信が届かないことが多いことをご承知おきください。〕

◎C型肝炎治療にとって大事なこと

〇私達患者が治療を受ける上で大事なことは、肝臓病の専門医と相談の上、その個人にとって最新のベスト治療をすることです。最近の治療法の進歩は、速く、且つ目覚ましいものがあります。それだけに、病院間格差や一般内科医と肝臓専門医の最新知識の格差ができやすいと云えます。主治医選びも治療の結果を左右します。特にこの経口新薬の適用の適否は、遺伝子検査結果によって判断されます。施療にあたっては、肝臓専門病院、専門医の診断で行うことが求められています。 (専門医選びは→日本肝臓学会ホームページの全国の専門病院・専門医一覧 をご覧下さい。)

〇次に、日本における最新の治療の基本は「C型肝炎治療のガイドライン」でありますが、インターフェロンフリー経口新薬の承認に伴い、最新版2014年第3版が、9月に発表され、その後、12月に第3.2版に改訂されて、日本肝臓学会のホームページに掲載されています。一般患者が全頁を読むには骨が折れますが、要所に【Recommendation〕という欄を設け、太字で重要事項がまとめて記述されているので、これを読めば、治療の大筋はほぼわかります。患者の病態や遺伝子検査結果に応じて、選択すべき治療法がフローチャートで示されています。
詳細は→日本肝臓学会ホームページの「2014年C型肝炎治療のガイドライン(第3.2版)」をご覧ください. 又、「2015年C型肝炎治療のガイドライン(第3.3版・簡易版)が2015年年5月に発表されましたので、これをクリックして参照してください。)

◎C型肝炎治療の最新動向について

〇最新の経口新薬が盛り込まれた「C型肝炎治療ガイドライン第3.2版」では、第一選択治療としては、ペグインターフェロン・リバビリン(ペグ・リバ)+シメプレビル3 剤治療 又は、ペグインターフェロン・リバビリン(ペグ・リバ)+バニプレビル3 剤治療 が推奨されています。第二世代3剤治療法が平成25年12月6日より適用実施され、同時に国の医療助成制度の適用も認可されました。これに伴い、難治型(1型・高ウイルス量)患者にとっては、抗ウイルス療法として、まずこの治療を選択するのが基本です。

☆3ケ月3剤の後、+3ケ月ペグ・リバ2剤で治療を継続する。合計6ケ月治療です。
期待効果は、初回治療の患者及び前回ペグ・リバ治療で再燃の患者は著効率90%前回ペグ・リバ治療で無効の患者は40~50% と云われています。(バニプレビルの場合は、全体としてほぼ同等ですが、前回無効患者の著効率がやや高く、55~70%と言われています。)

〇2014年9月より、ブリストルマイヤーズ製の経口薬「ダクラタスビル」と「アスナプレビル」(略称:ダクラ・アスナ)が、新しい保険適用治療薬として加わりまました。国内初のインターフェロンフリー療法です。著効率は高く(約85%)、副作用は少ないと云われています。インターフェロンを使わないで、内服薬2剤のみで治療できます。患者にとって負担が軽くて済みます。他方、前述のウイルスの耐性変異に留意しなければなりません。

☆対象は、難治型である1型高ウイルスの肝炎及び肝硬変患者(肝がん合併がないもの、但し、過去に肝がんの既往があってもよい)です。2015年3月20日より対象範囲が拡大され、すべてのジェノタイプ1型患者が適用選択肢として選べるようになりました。 つまりインターフェロン治療の前歴を問わず選択できるようになりました。(3月21改訂)

著効率は80%~90%が期待されていますが、特定の遺伝子変異のあるウイルスでは、著効率が30~40%程度に留まると言われており、著効に至らなかった患者は、その後の治療薬の選択が難しくなる可能性が指摘されています。

☆副作用としてALTが上昇することがあります。 (ATLの上昇程度によっては、専門医の特別対応が必要です。)

遺伝子検査は、今のところ保険適用ができませんが、肝臓専門病院又は肝臓専門部門を持つ病院では事前遺伝子検査結果を基づき治療選択をすることになっています。是非、この検査を受け、その結果により、インターフェロン治療をするか、この薬を適用するか、次に出る新薬を待つか、肝臓専門病院・専門医の診断により治療法を選択されることをお薦めします。

〇愈々、ジェノタイプ2型向けにギリアド・サイエンシズ社のソバルディ(ソフォスブビル)+リバビリンの発売が5月25日からと決まりました。今後は、ジェノタイプ1型向けの商品名ハーボニー(ソフォスブビル+レディパビル合剤)の審議が進められ、8~9月頃承認される予想です。著効率は、治験の結果からは、95%以上と言われています。

〇その他、アッヴィ社のバリタブレビル/リトナビル+オムビタスビルも、既に治験結果が発表され、承認申請がなされました。
⇒関心のある方は、「(’15年5月版)続々登場する新薬のお知らせ ~あなたに適した治療は!?~」 をご覧下さい。、

◎患者は、今、どのように治療法を選択すればよいのか?

〇「インターフェロン3剤併用治療か?」、「現行の承認された経口新薬“ダクラ・アスナ”か?」、「来年以降承認見込みの経口新薬(ソフォスブ・レディパス)か?」、 思案中の方からいくつかの相談を受けています。勿論、患者個人の諸々の状況によりその答えは違ってきますが、難治型(1型・高ウイルス量の患者)について、次に治療の選択肢を述べ、ご参考に供したいと思います。 (尚、最近、ジェノタイプ2型ウイルスの患者はどうしたらよいのか、との質問・相談もありますので、本文の末尾に、2型について記述を追加しましたので、2型に関心のある方は、ご一読ください。:2014年11月6日追記)。

1. 今のところ、第一選択治療法は(A₁)シメプレビル・インターフェロン3剤治療法、又はA2)バニプレビル・インターフェロン3剤治療法です。経口新薬の第一弾が承認されたとは云え、インターフェロン治療が可能又は可能と思われる患者は先ずこの治療をお薦めします。初回治療の患者及び前回ペグ・リバ治療で再燃の患者にはシメプレビル又はバニプレビル3剤治療の著効率は約90%ですので、この3剤併用治療の開始をお薦めします。ペグ・リバ治療より著効率は高いが、副作用はペグ・リバ治療と同等です。副作用が忍容できそうであれば、この療法を受けるのが第一選択肢です。(血球、ヘモグロビン、血小板などの忍容性は医師により、自覚症状については耐えられるかどうかは患者個人の判断で決めることになります。)。初回治療の患者は、副作用は未知数なので、まずやってみることです。その後は主治医の示唆にしたがって対処すればよろしいかと思います。できれば遺伝子検査などを受け、一定の予測をもって、専門医の指針によりこの治療に挑戦されることをお薦めします。

2.第二選択肢、(B)経口2剤新薬ダクラタスビル+アスナプレビルです。昨年 9月から一般に治療が開始されています。医療費助成制度も適用できます。過去の治療歴、インターフェロン治療の前歴にかかわらず適用可能となりました。(2015年3月20日より)。但し、この薬に関わるウイルスの遺伝子変異検査を受け、その結果を基に、専門医の診断により施療することをお薦めします。患者個人の詳細な遺伝子検査を受け、専門医の診断により、シメプレビル3剤治療か、経口2剤新薬・ダクラタスビル+アスナプレビルのどちらかを選択すべきでしょう。(前回インターフェロン治療無効者は、シメプレビル3剤治療の著効率は40~50%程度で、他に比べ高いとは云えません。しかし、この経口2剤治療の場合は、ウイルス遺伝子検査で、効きやすいのであれば、80~85%の著効率ですが、特定のウイルス遺伝子変異が有り、効きにくい患者は30~40%程度になると云われています。従って、日本肝臓学会の9月改訂のC型肝炎治療のガイドラインでは、治療前にHCV NS5A領域(Y93/L31)に遺伝子変異があれば、治療待機した場合の待機中の発がんリスク、及びこの新薬治療を行った場合の著効率と多剤耐性獲得のリスクを十分に勘案して、治療待機かこの治療かの方針を慎重に決定する、と記述されています。( これらの治療選択については、「患者の為のC肝最新治療のガイドマップ」を参照して下さい。

3.上述の二つの選択肢が選べない患者は、次の新薬の出現を待機することとなります。遺伝子検査の結果、シメプレビル3剤治療も、経口2剤ダクラタスビル+アスナプレビルも適用が困難な患者の場合は、当面、少量長期インターフェロン治療や肝庇護療法(強力ミノファーゲンC注射・ウルソ服用・瀉血等)で肝炎を抑えながら次の新薬を待つこととなります。

✩将来の第三選択肢は、ギリアド・サイエンシズ社の(C)経口新薬ハーボニー(ソフォスブビル+レディパスビル合剤)です。 前述のように、既に承認・審議中です。今年の8~9月頃には承認の予想です。治験では95%以上の著効率であり、期待の新薬です。

〇但し、この新薬を待っている間に肝炎や肝硬変の進行・重症化はあり得るし肝がん発症のリスクもあります。主治医と充分相談して判断してください。(これは、主治医といえども確実な予測はできませんので、患者が自己責任で最終判断するしかありません。)長年にわたるC型慢性肝炎・肝硬変患者、特に高齢者はいつ肝がんが発生しても不思議ではないので、一日でも早い治療が基本です。主治医と相談して、今一度、血液検査や遺伝子検査結果を評価し、治療成功の可能性と病状進行によるリスクを天秤にかけ、今、治療するか、待つかを選択することになります

〇遺伝子検査でインターフェロンが効きにくい、あるいは無効、インターフェロン治療は副作用などで医療を中断した方で、NS3A、NS5A耐性変異なしとわかった方は、(B)経口新薬ダクラタスビル+アスナプレビルの治療をお勧めします。
NS3A、NS5A耐性変異があるとわかった方は、原則として、(A₁)シメプレビル又は(A2)バニプレビル3剤(IFN)治療法を選ぶか、 (C)経口新薬ハーボニー(ソフォスブビル+レディパスビル合剤)の認可を待って治療するということになります。

〇いずれにしても、「今IFN治療を開始するのも、現行の経口新薬を適用するのも、今年承認予想の次の経口新薬を待つのも」、上述のメリットとデメリット(リスク)があることを十分納得の上で、「(A₁)又は(A2)インターフェロン3剤併用新薬か?」、「(B)現行の経口新薬(ダクラ・アスナ)か?」、「(C)今年承認予想の経口新薬ハーボニー(ソフォスブビル・レディパス合剤)か?」 どれを選択するかは、最新の血液検査や遺伝子検査の結果や病状などを充分肝臓専門医と相談して判断してください。

〔ジェノタイプ2型の治療法について〕ー2014年11月6日追記。2015年5月16日改訂(下線部)

〇2型についての治療は、次の通りです。

低ウイルス量の場合、ペグインターフェロン単独24~48週(又は、インターフェロン単独24週)の投与をおこなうことが標準治療です。 この療法の著効率は90%といわれています。

高ウイルス量の場合は、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法24週(又は、インターフェロンβ+リバビリン併用療法24週)行うのが標準です。リバビリンが使えない人には、ペグインターフェロン単独24週~48週治療も行われます。この療法で著効率は80%以上といわれています。いずれにしても、1型よりは治りやすいということが常識なっていましたので、新薬の注目度は低かったかもしれません。

今回、ソバルディ(ソフォスブビル)+リバビリンの経口新薬の発売日は2015年5月25日に決定しました。著効率は95~100%と言われています。ジェノタイプ2型の方も、5月20日以降、保険でインターフェロンフリーの経口新薬が使えるようになり、医療費助成も適用可能となりました。

 

初稿:2014年3月3日
改訂:2014年7月30日、2014年9月11日、2014年10月1日 更新:2014年10月18日、2014年10月6日、2014年11月6日、2014年11月8日、2015年1月5日、2015年4月30日

投稿者 chiadmin