肝炎・肝臓病治療の解説・まとめ

(New!)最新のC型肝炎経口薬(インターフェロンフリー)の適用動向について ~千葉県の最新適用統計より~

千葉肝臓友の会副会長 篠田省輔(千葉県肝炎医療コーディネーター)

皆さんご承知の如く、C型肝炎経口薬の進歩は目覚ましく、次々と改良された新薬が出て来ております。2017年11月には、更に進化した「マヴィレット」(一般名:グレカプレビル・ピブレンタスビル)が2017年11月に発売されました。飲み薬のみの経口新薬として、ダクラタスビル・アスナプレビルが2014年9月に発売されました。その治癒率が85%程度で、且つ耐性変異のあるウイルスには効力が落ちる難点がありました。その後、2015年9月に「ハーボニー」(一般名:ソホスブビル・レディパスビル)が発売され、治癒率が約98%ときわめて高く、使いやすく急速に普及しました。

しかし、ハーボニーも心臓病患者や腎臓病の持病のある患者には要注意だったり、禁忌の場合があり、課題は残されていました。その後、治癒率はほぼ同等で、心臓や腎臓に疾患があっても使える薬が出て来ました。それは、ヴィキラックス(2015年11月発売)、グラジナ・エレルサ(2016年11月発売)、ジメンシー(2017年2月発売)などです。ごく最近になって、上述しました「マヴィレット」が2017年11月に発売され、これから適用が増えていくものと予想されます。又、ソホスブビル・ベルパタスビル(エプクルーサ/未発売)も話題になり、今年中に発売に至るのではないかと期待されています。いずれにしても、夫々に併用注意や禁忌の薬剤があり、適用には注意が必要です。夫々に利点・欠点がありますが、
➀患者個人の治療歴②ウイルスの耐性変異③病態(肝炎か、肝硬変か、その進行度合い)④併発している持病⑤併用注意薬・禁忌薬 等を勘案して使い分けられています。

ここでは、患者さんの薬剤選択の参考に資するため、これらの経口新薬がどのように適用されているかを千葉県の最近(H30年7月度)の統計事例(最新の千葉県経口新薬適用統計とそのグラフ)でお知らせします。全国でもほぼ同様の傾向にあると思われます。

昨年までは、ハーボニーが主役でしたが、今年になってからマヴィレットのシェアが急上昇し、首位になり66%を占め、2位はハーボニーで約22%です。3位、4位にはエルレサ・グラジナ8.4%、ソホスブビル・リバビリン4%となっており、ここのところ、適用はほぼこの4薬剤に絞られて来ております。

千葉県インターフェロンフリーC肝経口新薬適用一覧表