新薬・治療法のトピックス

慢性C型肝炎のIFNフリー療法(米国、経口プロテアーゼ阻害薬等の治験報告)

〇最近話題の飲み薬で治すC型肝炎経口抗ウイルス薬の治験結果が医療専門誌NEJM誌に報告されました。いわゆるプロテアーゼ阻害薬、ポリメラーゼ阻害薬、NS5A阻害薬と呼ばれる新薬とリバビリンを組み合わせる療法を、難治(遺伝子1型)患者で、未治療又はペグ・リバ治療で無効であった患者に対して組み合わせ治験が行われた。未治療患者への3種複合+リバビリン治療では、著効率(SVR)は8週群は88%、12週群は95%であった。すべての治療群の著効率は、83%~100%であった。高い著効率で且つ治療期間は短期でも有効であることが示された。(1月27日のケアネットの記事を転載します。)

慢性C型肝炎のIFNフリー療法―リバビリンレジメン/NEJM

提供元:ケアネット 公開日:2014/01/27
未治療またはペグインターフェロン(商品名:ペガシス)+リバビリン(RBV、商品名:コペガスほか)による前治療が無効であった遺伝子型1型感染患者に対し、経口投与のみの直接作用型抗ウイルス薬(2種または3種)+RBVレジメンが、いずれの患者にも有効であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが、第2b相非盲検無作為化試験にて9レジメン(14サブ治療群)を設けて検討した結果、治療終了後24週時点のSVR(持続性ウイルス学的著効)は、83~100%であったことを報告した。(NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。)

571例を14の直接作用型抗ウイルス薬+RBVレジメンに割り付けて検討

試験は2011年10月~2012年4月に9ヵ国97施設で1,013例がスクリーニングを受け、肝硬変を伴わない未治療または前治療無効のHCV遺伝子型1型感染患者571例を無作為に14群に割り付けて行われた。検討された経口抗ウイルス薬は、プロテアーゼ阻害薬ABT-450+リトナビル(同:ノービア)(ABT-450/r:ABT-450投与量100、150、200mg設定)、非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬ABT-333、およびNS5A阻害薬ABT-267。前者の2種は、予備試験でインターフェロンを用いないRBV併用レジメンとして有効性が示されており、ABT-267は、とくに治療困難な患者において有効性が改善する可能性が示唆されていた。571例を2種または3種複合の8週、12週、24週投与の14の治療群(9群1治療群を除きRBV併用)を設定し検討した。主要エンドポイントは、治療終了後24週時点のSVRであった。

SVRは83~100%

主要有効性解析では、未治療患者への3種複合[ABT-450/r(150mg)+ABT-333+ABT-267]+RBVの8週治療群と、同12週治療群を比較した。結果、治療終了後24週時点のSVRは、8週治療群88%、12週治療群95%であった(両群差:-7ポイント:95%信頼区間[CI]:-19~5、p=0.24)。すべての治療群のSVRは、83%[未治療、ABT-450/r(150mg)+ABT-333+RBV]から100%にわたった。最も頻度が高かった有害事象は、疲労、頭痛、悪心、不眠であった。有害事象により試験を中止したのは8例(1%)だった。

原著論文はこちらKowdley KV et al. N Engl J Med. 2014 Jan 16;370(3):222-32.