新薬・治療法のトピックス

国内初のC型肝炎に対するIFNフリー2剤併用療法の医療費助成決まる

〇皆さん待望のIFNを使わないC型肝炎の2剤併用経口新薬の保険適用がが9月2日に厚労省より通達されました。いよいよ一般に治療が開始されます。取り敢えず、速報記事をお知らせします。

(メディカルトリビューンより抜粋〉

 9月1日,厚生労働省で開催された第12回肝炎治療戦略会議(座長:林 紀夫 氏,関西労災病院院長)で,国内初承認のインターフェロン(IFN)を含まない経口抗ウイルス薬治療アスナプレビル(商品名スンベプラ)とダクラタスビル(同ダクルインザ)の2剤併用療法医療費助成に関する審議が行われ,了承された。C型慢性肝炎に対するIFNフリーの治療法が医療費助成制度の対象となったのは初めて。

IFN無効,不耐容・不適応例で80%以上のSVR,薬剤耐性への注意が必要

今回,医療費助成が決まったのはC型肝炎ウイルス(HCV)を直接阻害する経口薬NS3プロテアーゼ阻害薬アスナプレビルとNS5A 阻害薬ダクラタスビルの併用療法。ゲノタイプIbのC型慢性肝炎患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験では,IFN無効例,あるいは不耐 容・不適例への投与により24週時点のウイルス学的持続著効(SVR)がそれぞれ87.4%,80.5%との成績が示されている(Hepatology 2014; 59: 2083-2091)。

これらの直接作用型抗ウイルス薬(DAA)はIFNの有効性に関連する一塩基多型(SNP)や性別,年齢,ウイルス量や肝硬変の有無にかかわらず有効性が高い一方,治療不成功例での高度薬剤耐性の発現や治療前にNS5A阻害薬に対する耐性変異があった場合,SVRの低下だけでなくNS3プロテアーゼ阻害薬に対しても耐性が生じることが分かっている。2薬剤の治療成績を説明した委員の泉並木氏(武蔵野赤十字病院副院長)は,「経口薬による抗ウイルス療法では耐性発現が問題になってくるので注意が必要」とコメントした。

助成は24週限定,以後のIFN含む治療は助成対象外

今回事務局が提出したこれらの2剤併用療法の医療費助成に関する対応方針は次の通り。

  • C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変に対するダクラタスビルおよびアスナプレビル併用療法を医療費助成の対象とする
  • ②対象患者は,HCV-RNA陽性のC型慢性肝炎またはChild-Pugh分類AのC型慢性代償性肝硬変で肝がんの合併の ない者とする
  • ③ダクラタスビルおよびアスナプレビル併用療法に対する助成の申請にあたっては,原則として日本肝臓学会肝臓専門医が「肝炎 治療受給者証の交付申請に係る診断書」を作成する。ただし,自治体の実情に応じて,各都道府県が適当と定める医師が作成してもよ いこととする
  • ④助成対象となる治療期間は24週とし,副作用による休薬等,本人に帰責性のない事由による治療休止期間がある場合でも,助成期間の延長は行わない
  • ⑤ダクラタスビルおよびアスナプレビル併用療法の適応が,IFNを含む治療法に不適格/不耐容/無効である患者であることから,ダクラタスビルおよびアスナプレビル併用療法を受けた者については,以後のIFNを含む治療については,助成の対象としない.

(記者:坂口 恵)