〇この度、C型肝炎治療で長年闘病をされ、以前にインターフェロン・リバビリン治療(ペガシス・コぺガス)では、いろいろな副作用に難渋されたにもかかわらず薬効なく、最新のC肝経口新薬「ハーボニー」の治療により、苦労なく完治されたある会員さんから、お手紙を頂きました。治療中の皆様、治療を検討されている皆様に大いに参考になりますので、ご本人の了承を得て、投稿者匿名にて掲載させていただきます。
〇幅広い閲覧者に理解して頂くため、注目文言は太字に、薬剤などの医療用語などには当会で脚注を付けさせて頂きました。ご感想、ご意見などございましたら、tlc.office@chiba-kantomo 、047-460-7055 へお願い致します。
【千葉肝臓友会】
20年のC型肝炎治療の長旅は終りました
「ペガシス・コぺガス」では、強い副作用に難渋しましたが、薬効なく、
「ハーボニー」では、苦労なく楽々完治し、感謝の気持ちでいっぱいです。
投稿者 A(匿名)
千葉肝臓友の会の皆さんへ
「袖ひぢて むすびし水の 凍れるを 春立つ今日の 風やとくらん」 紀 貫之
大寒を過ぎ寒さも一層厳しく感じますが、春の足音も聞こえてきそうな昨今です。
千葉肝臓友の会の運営委員の皆さまにおかれましては、国会請願活動や講演会の開催、ウイルス検診の年齢制度撤廃促進の活動、会報「さわやかさん」の発刊など日頃のご活躍、本当にありがとうございます。
実はこのたび、私は長い間苦しんできましたC型肝炎のウイルスを排除できましたことをご報告いたします。平成28年1月からインターフェロンフリーの飲み薬「ハーボニー」*¹の服用を開始しました。4月に無事終了し、6ケ月後の10月に完全にウイルス「検出せず」という結果に至りました。
私の闘病経過が皆さんの参考になればと思い、簡単ですが、以下に述べさせて頂きます。
C型肝炎感染(1b型)が平成8年に人間ドックで判明してから、C型肝炎感染という事実は、私にとって、常に日常の気がかりでした。食事の鉄制限、感染するのではないかと言う偏見から周囲への隠蔽など、1日たりとて忘れる日はありませんでした。
当時は、C型肝炎感染という自覚症状は全くなく、ALT、AST*²とも基準値内ということで、特に治療することなく仕事も家事も普通にできていました。今では害とされるウコンをサプリメントして服用しながら・・・・。 変化があったのは、平成14年ALT、ASTが、両方とも50近くに上がったため、都内の大学付属病院を受診し、肝庇薬ウルソを飲み始めました。 その結果、2か月後にはALT、ASTとも20前後となり、年1回のエコー検査とウルソの投薬のみの通院を続けておりました。
6年後に千葉県内に転院し、平成21年肝炎治療助成制度を申請し、インターフェロン・リバビリン療法である「ペガシス、コぺガス」*³の併用療法を1年間受けました。この治療は、私にとって副作用が強く、食欲がなくなり体重が10キロ近く落ち、皮膚のかゆみで不眠となり、脱毛もあり大変つらいものでした。治療は、何とか1年間続けられたものの、最後までウイルスは消えませんでした。しかし、当時ALT、ASTとも20~30で、アルブミンも4.0以上あり、血小板も20万/ml前後で、超音波やCТで肝臓の状態も良好ということで、その後は、ウルソのみの治療を続けておりました。「いずれ近いうちに、新薬が出るから」と主治医の先生からのお話があり、その時を心待ちにしておりました。
そして、平成28年の飲み薬新薬「ハーボニ―」服用に至るわけです。
「ハーボニ―」服用カレンダー「服薬道八十四次」*⁴の旅路は、副作用もなくとても“楽〟で短い日程でしたが、私の20年のC型肝炎感染という年月は、長い長い旅路でした。 しかし、千葉肝臓友の会発行の会報「さわやかさん」の情報や、講演会への出席、会員交流会などを通して、どんなにか励まされたことでしょう。今日もテレビから、「治そうC型肝炎」のCМが流れます。耳にするたびに、私という患者に携わってくださった主治医の先生方をはじめ、友の会の方々や、製薬会社、家族等々への感謝の気持でいっぱいです。
最後に、特筆すべきこととして、肝炎治療が進まない一つの原因として、依然として、まだ世間の偏見があるのだと思います。「簡単に感染するのではないか」「職場に知れたら仕事に支障が出るのではないか」「人間関係が崩れるのではないか」等の危惧から治療に踏み出せないのではないかと、懸念しております。医療の現場ですら、歯の治療の際、肝炎患者とわかると緊張感の漂う雰囲気や、ドックの内視鏡の検査の際も「一番最後に受けてください」などとの差別を感じることがありました。仕方なかったのかも知れませんが・・・。そのため私の肝炎感染という事実は、職場は勿論、集落の親しい人々や、友人にさえも知られることはありませんでした。完治した今、今後は感謝の気持ちとして、微力ながら何らかの形で、千葉肝臓友の会に協力出来たらと思います。
これからも千葉肝臓友の会のますますのご活躍と、ご発展をお祈りしてご報告といたします。
2017年〇月〇日 会員 A より
かしこ
[脚注]
*¹:「ハーボニー」は、ソフォスブビルとレディパスビルと呼ばれる薬剤の配合錠で、ギリアド社製造・発売のC型肝炎1型向けの経口(飲み薬)新薬の一つです。薬効は極めて高く、治療期間は12週間です。今、最も多く使用されております。
*²:ASTはaspartate aminotransferaseの略字、ALTはalanine aminotransferaseの略字で、肝臓細胞に存在している1種の酵素です。以前は、GOT(glu-oxaloacetic transaminase)、GPT(glutamic-pyruvic transaminase)と呼ばれていたもので、現在、世界標準記号としてはAST,ALT が使われますが、GOT,GPTが使われている病院や書籍もあります。肝細胞が障害され、破壊するとこの酵素が血液中に放出され、血液検査で検出できます。肝臓の組織障害の有無・程度を推測するマーカーとして用いられます。各病院・検査機関の検査値表では、正常値表示に多少差がありますが、最近は、正常上限値は、30(IU/ℓ)以下とされています。(AST、ALTに差がある場合、どちらが高いかにより、肝臓障害の状況をある程度判断できます。)
*³:「ペガシス・コぺガス」は、ペグインターフェロンとリバビリンの商品名です。ペガシス(ペグ・インターフェロン)が注射薬(通常週1回投与)で、コぺガス(リバビリン)は飲み薬(毎日服用)であり、併用します。治療期間は48週又は72週間で、長期です。
*⁴:「服薬道八十四次」は、八十四日間の治療をたとえての表現です。「ハーボニー」の治療期間は、84日間(12週間)です。