肝硬変に骨髄細胞を投与 厚労省部会、臨床研究了承
共同通信社 2014年7月22日(火)、配信記事より
厚生労働省の科学技術部会は18日、進行した肝硬変の患者の骨髄細胞を体外で増やして投与する山口大病院の臨床研究を了承した。「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に基づいた手続きで、厚労相の正式了承を経て実施される。
研究は坂井田功(さかいだ・いさお)・山口大教授らが計画し、患者10人が対象。骨髄液を30ミリリットル採取し、約3週間増殖させた上で静脈から点滴で投与する。主な目的は安全性の確認だが、細胞の一部が肝臓に集まって有用な物質を出し、機能改善を促すと期待されている。現在、同大病院で行っている臨床研究では、全身麻酔をかけて骨髄液を400ミリリットル採取するが、新しい方法は体への負担が軽くなる。
ウイルスなどが原因で肝炎が長く続くと、次第に肝臓が硬くなり機能が落ちた肝硬変になる。肝臓が持つ再生力でも追いつかなくなると腹水や脳症などが現れ、肝臓移植以外に根本的な治療がなくなる。こうした患者への新たな選択肢にしたいとしている。