新薬・治療法のトピックス

C型肝炎、飲み薬で撃退 (毎日新聞記事-3月3日)

◎C型肝炎経口新薬が話題になっている中、3月3日に毎日新聞から一般向けの医療啓蒙記事が出ました。C型肝炎の医療の最近の大幅進歩を伝えるとともに、この肝炎の実態や治療の選択について、肝臓専門医のコメントも含め、わかりやすくまとめています。C型肝炎患者は勿論、未だ自分ではC型ウイルスの感染に気づいていない一般の方々にも読んで頂きたい内容なので、紙面から抜粋して掲載します。

◎C型肝炎は治る時代になって来ました。C型肝炎の方々は、従来、副作用で治療ができなかった方、あるいは中止した方、無効であった方、肝硬変(代償性)や高齢で治療をあきらめていた方、今、改めて肝臓専門医を受診し、経口新薬による治療を検討して頂きたいと存じます。(公費助成が受けられます。) 又、一般の方々には一度でよいので、是非肝炎ウイルス検査の受検を強くお勧めします。(検査料は原則公費負担で、無料です。)

【千葉肝臓友の会】

C型肝炎、飲み薬で撃退

毎日新聞社、 2015年3月3日(火)配信記事より

肝臓がんの原因にもなるC型肝炎ウイルスの感染者(キャリア)は全国に200万人前後いるといわれるが、ウイルスの感染を知らない人も多い。最近は治療法が格段に進歩し、飲み薬だけでウイルスをほぼ除去できる。国はウイルス検査を呼びかけている。

〇感染者推定230万人

C型肝炎ウイルスに感染すると肝臓の機能が低下し、ついには肝硬変や肝臓がんに至る場合が多い。肝臓がんの死者の約5~6割はC型肝炎ウイルスによるものだ。

厚生労働省によると、C型肝炎ウイルスをもつ感染者は約190万~230万人と推定される。そのうち、検査で感染を知りながら、継続して治療を受けていない人が2011年時点で約53万~120万人(昨年7月の厚労省・肝炎対策推進協議会報告)もいる。

ウイルスが体内にいると知りながら治療をしていない人が多い背景として、治療法が進歩している▽治療費への助成制度がある――といった状況を知らない人が多いことが考えられる。

〇2剤服用法が登場

C型肝炎の標準的な治療法は、免疫を活性化させるインターフェロンの注射とウイルスの増殖を抑える経口薬など3剤の併用療法だ。インターフェロンを使った治療は、ウイルスを除去する効果が年々高くなっているものの、発熱や頭痛、倦怠(けんたい)感など副作用が出やすいことや、体の弱い高齢者が治療を続けることが難しいという問題がある。

そこへ登場したのが飲み薬だ。昨年9月、経口薬の「ダクラタスビル」(製品名ダクルインザ)と「アスナプレビル」(製品名スンベプラ)が発売された。インターフェロンの注射は不要で、約半年間、毎日、2剤を一緒に服用するだけだ。承認申請時の臨床試験では約85%の患者でウイルスが体内から消えた。

飲み薬による治療の対象となるのは、インターフェロンの治療で効果がなかった患者や重い副作用で治療を中断した患者、高齢者らだ。

肝臓病の治療で知られる持田智・埼玉医科大教授は、昨年9月から約200人のC型肝炎患者を対象に2剤の飲み薬を処方している。まだ最終的な結果は出ていないが、「おそらく9割以上でウイルスの排除が期待できる。5年前には想像もできないほど治療は進んだ」と話す。

薬の副作用による一過性の発熱や軽い肝障害が10人に1人くらいの割合で見られるが、専門医師のもとで適切に対応すれば、元に戻り心配は不要という。

〇耐性ないか検査を

ただ、この飲み薬は一部の人に対しては、ウイルスが変化して、薬が効かなくなる耐性ウイルスの出現という問題がある。つまり、「安易に使うと耐性ウイルスが出て、治療が困難になる患者が出てくる」(泉並木・武蔵野赤十字病院副院長)。

このため、持田教授は「2割程度の患者では、治療前から耐性ウイルスが認められる。事前にウイルスの遺伝子検査をして、薬剤耐性のない患者だけを治療すれば、ほぼ全例でウイルス排除が可能だ」と話し、専門医師のもとで慎重に治療する重要性を指摘する。

今年中には、約3カ月間、飲み薬を飲むだけでウイルスが除去できる新薬も登場する予定だ。

〇「ほぼ治る時代」

C型肝炎は、感染した人の血液を介して移る。最近は輸血で感染することはないが、約20年以上前に輸血や手術を経験した人は、一度は検査した方がよい。

東京医科歯科大の朝比奈靖浩教授は「C型肝炎の感染者は高齢化していて、感染した高齢者では肝臓がんになるリスクは高い。ウイルスを見つければ、ほぼ治る時代になったので、早めにウイルスを除去した方が発がん防止になる」と話す。

ウイルスを除去する治療費は国の助成金制度を利用するため、患者の自己負担は月に約1万~2万円で済む。ウイルスの有無を調べる検査も、特定の医療機関で、無料で受けられる。厚労省は「どこの医療機関で検査が受けられるかは、地元の保健所に聞けば教えてくれる」と検査を呼びかけている。【小島正美】