〇肝硬変が進むと、血中にアンモニア濃度が高くなり、肝性脳症に苦しむことになります。今回、この肝性脳症の治療薬として、あすか製薬から難吸収性抗菌薬「リフキシマ®錠200mg (一般名:リファキシミン)」の発売が承認されました。
この薬、「リフキシマ®錠200mg」は、Alfa Wassermann S.p.A(本社:イタリアボローニャ)により創製・開発され、あすか製薬が導入した、リファマイシン系の難吸収性抗菌薬であり、腸内細菌に作用し肝性脳症の主な原因となるアンモニアの産生量を減少させ、肝性脳症における高アンモニア血症を改善する薬剤です。
〇「肝硬変診療ガイドライン2015」※1において、本剤が保険収載されれば、肝性脳症に対して投与を行うよう提案されており、肝性脳症治療における新たな選択肢となることが期待されます。肝性脳症に苦しむ患者さんのとって朗報です。
〇ご参考までに、あすか製薬から発表された「リフキシマ」の製品概要を抜粋記載しますので、ご一覧ください。
【千葉肝臓友の会】
【リフキシマ®錠200mg の製品概要】
製品名 | リフキシマ®錠200mg RIFXIMA® TABLETS |
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一般名 | リファキシミン RIFAXIMIN |
製造販売承認日 | 2016年9月28日 |
効能・効果 | 肝性脳症における高アンモニア血症の改善 |
用法・用量 | 通常、成人にはリファキシミンとして 1回400mgを1日3回食後に経口投与する |
参考文献 ※1:日本消化器病学会編 肝硬変診療ガイドライン2015 改訂第2版
参考資料
【肝性脳症について】
肝性脳症は、劇症肝炎や肝硬変などの肝障害に起因する精神神経症状を主とした重篤な合併症です。
肝性脳症の発現機序には様々な要因が挙げられていますが、中でも食事などから摂取したタンパク質が腸内細菌によって分解されて生じるアンモニアが神経の働きに悪い影響を与えるとされています。肝機能が正常な場合には、アンモニアは主に肝臓で代謝されます。しかし、肝硬変などで肝機能が低下すると、代謝が不十分になり、血液中のアンモニア濃度が上昇し、脳へ直接ダメージを与え、さまざまな精神神経症状が引き起こされます。肝性脳症は、意識障害や行動異常を伴い、進行すると最終的には昏睡状態に陥り、生命に危険が及びます。