肝硬変の進行抑制にリュウマチ治療薬(活性阻害剤)が効くという。中島利博・東京医科大学教授らの研究チームがマウス実験で証明した。

リウマチ治療の活性阻害剤が肝硬変に応用 東京医大の中島教授ら

高知新聞  2014年4月11日(金)より

関節内で炎症を引き起こす酵素の働きを抑える活性阻害剤が、肝硬変への進行も抑えることを、中島利博・東京医科大学教授らの研究チームがこのほど、マウス実験で証明した。中島教授は高知市のベンチャー企業でこの活性阻害剤を使った関節リウマチの新薬開発に取り組んでおり、「将来は肝硬変の治療薬も開発したい」と話している。中島教授は2003年、酵素「シノビオリン」が炎症を引き起こす仕組みを突き止め、活性阻害剤を発見。海里マリン病院グループ(高知市)と共同出資した「フューチャー・マリン・サイエンス(FMS)」で新薬開発を進めている。

肝硬変は肝細胞の壊死(えし)と再生が繰り返されることで、肝臓が小さく、硬くなり、肝機能が低下する病気。ウイルス性肝炎やアルコールなどによる肝障害が進行して発症する。

中島教授は日本や米国の大学と共同で研究。アルコールや肝炎ウイルスによって肝細胞にかかるストレスが、活性化したシノビオリンによって過剰になることで肝硬変に移行する仕組みを発見。肝硬変を発症するように操作したマウスに活性阻害剤を投与すると、発症を抑えることができた。

結果をまとめた論文は米科学誌「ジーンズ・アンド・デベロップメント」に掲載された。中島教授は「リウマチと肝硬変には『組織が硬くなる』という共通の病変がある。今回の研究で、この病変を標的とした創薬に弾みがついた。今後も研究、開発に力を入れたい」と話している。

投稿者 chiadmin