日本肝臓学会 C型肝炎治療ガイドライン改訂 シメプレビル+PEG-IFN+リバビリン3剤併用が第一選択
ミクスOnline 2014/09/08
◎日本肝臓学会は9月3日、「C型肝炎治療ガイドライン(GL)」の改訂を発表し、難治性とされる、“ゲノタイプ1b型・高ウイルス量”の症例において、現在の第一選択はシメプレビル(製品名:ソブリアード)+ペグインターフェロン(PEG-IFN)+リバビリンの3剤併用療法であることを明記した。NS5A阻害剤・ダクラタスビル(ダクルインザ)/プロテアーゼ阻害剤・アナスプレビル(スンベプラ)の併用療法については、日本で実施された臨床第3相試験の結果を踏まえ、インターフェロン(IFN)不適格例での使用を推奨した。改訂は、同日ダクラタスビル、アナスプレビルが発売されたことを受けたもので、同剤の位置づけも明確化された。 GLでは、治療目標について、肝発がん、肝疾患関連死を抑制することと明記し、この目標達成のために抗ウイルス療法によるC型肝炎ウイルス(HCV)の排除を目指すとした。ただし、IFN治療によりHCV RNAの排除に成功した例でも、発がんは完全に抑制されないことから、特に高齢者、繊維化が進行例など高発がんリスク例ではフォローアップの必要性も強調した。新薬であるダクラタスビル/アナスプレビルの併用療法などのDAAsについては、IFNと同率のHCV-RNAの持続陰性化(SVR)が得られた症例であっても、IFNと同程度の肝発がん抑制効果が得られるかについては現時点ではエビデンス(証明)がないことから、さらに注意深いスクリーニング、フォローアップを求めた。
◎ダクラタスビル/アナスプレビル併用療法 専門医の判断で投与を
新薬であるダクラタスビル/アナスプレビルの併用療法については、IFNフリーの抗ウイルス療法で、「IFNの多彩な副作用を回避できる反面、薬剤耐性変異や肝障害などの副作用の問題がある」と指摘し、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師により、適切な適応判断がなされることが必要とした。また、非代償性肝硬変を対象とした臨床試験は実施されておらず、安全性も確認されていないことを明記。「非代償性肝硬変症例では投与を行うべきではない」とした。
ゲノタイプ1b型・高ウイルス量の治療方針については、初回治療、前治療再燃例であっても、IFN適格例としては、IFNをベースとした治療、中でもシメプレビル+PEG-IFN+リバビリンの3剤併用療法を第一選択とした。
一方で、既治療やIFN+リバビリン併用療法の副作用で中止した症例、IFN不適格例(▽IFN未治療でIFN使用困難例、▽IFN既治療でIFN不耐容)については、ダクラタスビル/アスナプレビル併用療法などDAAsの併用療法を推奨した。ただし、ダクラタスビル/アナスプレビル併用療法は、線維化進展した高齢者患者、いわゆる“高発がんリスク”を除き、いずれの場合も治療待機とリスクベネフィットを勘案し、治療方針を決定することも求めた。また、治療で著効が得られなかった症例では、高率に多剤耐性ウイルスが出現し、今後の治療に影響を及ぼす可能性があることから、治療前にHCV NS5A領域(Y93/L31)に遺伝子変異があれば選択しないことを求めた。